2014年9月27日土曜日

ヘルパーさんと一緒に


ももちゃん、この前ね、おばあちゃんのお世話をしてくれてる、ももちゃんのばあばに、私の家では、「ヘルパーさんにどんなこと頼んでたの?」って聞かれたの。「歯みがきとか…」って言ったら、やっぱり、「えっ?」って顔されちゃった。

そうなんだよね、ヘルパーさんって言ったら、お掃除とか、料理とか、本人ができない家事を代わってもらうイメージ、あるよね。でも今思い出すとね、洗濯を一緒にしたり、衣替えみたいに、たんすの整理を一緒にしたり、おばあちゃんがやりたいことを手伝ってもらう、っていうのをよくお願いしてたの。ヘルパーさんには週2、3回来てもらってて、掃除も一部屋だけだったからね。お母さんが、事前にケアマネージャーさんと、お願いしたいことをよく話し合ってたんだと思うけどね。

おばあちゃんはもともと洗濯が大好きだったから、ヘルパーさんに手伝ってもらって洗濯できたときなんかは、晴れ晴れとした、いい顔をしていたよ。

おばあちゃんはうつだったし、ヘルパーさんと過ごす時間で、気分転換したり、生活のリズムを作ったり、できてたんじゃないかな。家族の人が「起きる時間だよ」とか「ご飯食べようよ」って呼んでも、おっくうでなかなかできないけど、他の人と接するときは、ちょっと緊張感もあるし、調子がいいときは気を遣ったりもできる。

家族だけでおばあちゃんと接していると、「また断られた」「今日は調子悪いみたい」とか、がっかりがどんどん貯まって、堂々めぐりになってきちゃうんだよね。
よその人に家に来てもらうのって、初めは緊張するけど、思い切って甘えて、色んな人で少しずつ、おばあちゃんのお世話をしていけば、ちょっとでも楽に感じられるんじゃないかな。

2014年9月25日木曜日

おばあちゃんと歩こうよ


ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃん、最近は、昼間ほとんど寝てるんだって…?やることがなくて困っちゃってるのかな。

おばあちゃんを散歩に連れてってあげたいな。身体を動かすと足腰もほぐれるだろうし、外の景色を見ると気晴らしになるよね。

私のお母さんは、時間の余裕があるときはおばあちゃんに「散歩に行きませんか?」って声をかけていたよ。もちろんうつだから、断られちゃうんだけどね。

あるとき、調子がよくて、何年ぶりかに散歩に行けたことがあったの。おばあちゃん、おじいちゃんと散歩に行ってたころは後ろから付いて歩くだけだったのに、その日は自分で行きたい道を歩いたんだって。
おばあちゃん自身も、思ったより自分が歩けたからびっくりしてたって。晴れ晴れとした表情で、お母さんに「ありがとう」って言ったそうだよ。

認知症でも、できるなら行きたいときに、お出かけさせてあげたいよね。いつもと違ったことをするって、いいことだと思うんだ。

2014年9月18日木曜日

季節外れなおばあちゃん


ももちゃん、最近おばあちゃん、季節に合った洋服がわからなくなっちゃったんだってね。夏でも長袖(そで)を着て、「暑い暑い」って言ってるんだってね。

認知症になると、今いる季節も、わからなくなっちゃうんだよね。しょうがないね。私のおばあちゃんも、季節と関係ない服を着てた。夏でも長袖を着たり、ちょっと冷えると、毛糸のくつ下をはいたりしていたよ。

でもね、私は無理に季節のとおりの洋服を着せなくても、いいと思うの。おばあちゃん、きっと、真冬に袖なしのシャツとかは、着ないでしょう?だいたい、暖かい物を着過ぎちゃうんだよね。

あまり運動もしていないし、血行もよくないから、「暑い暑い」って言っても、足とか、お腹は冷えていたりするかもしれない。季節がわからないから、みんながびっくりするような服になっちゃうけど、実は、ちょっとスースーしたり、寒いのかもしれない。

私のお母さんは、ちょっと朝冷えると引き出しをあちこちひっくり返してるおばあちゃんを見て、「おばあちゃんなりに考えているのよね」と言って、おばあちゃんには色々言わなかったよ。好きな服を選ぶままにしたり、寒そうでもっと着るにしても、聞きながら、一緒に選んであげてたりした気がする。

そんなにみんなと同じに服を着なくてもいいよね。温かく見守ってあげてね。

2014年9月17日水曜日

もう、がまんしなくていいよ


ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃんって、昔は無口で、あまりしゃべらなかったんだって?今はご飯のときも「これおしょうゆかけちゃおか」とか何でもしゃべってて、いつも笑ってて、楽しそう。

おばあちゃん、実は寂しがり屋さんで話すのが好きそう。ずっとしゃべりたかったんだけど、だんなさんの前ではおしとやかにしたり、おしゃべりになりすぎないように、がまんしてたんじゃない?

元気だったころのおばあちゃんは、ものすごく働き者だったんだってね。ゴマの実ができたら作ってた話とか、ピーナッツみそが上手だったとか、色々聞いたよ。お盆にはおまんじゅうやぼたもちも作って…。本当に真面目で、みんなのために休みなく働いてくれてたんだろうね。

私のおばあちゃんはね、長い間ずっとがまんしきて、「もうがまんできない!」って爆発してうつになった感じだったの。うつになる前は、おかずを食べる順番さえおじいちゃんに教えてもらうくらい気が弱そうだったのに、うつになって、「私は白いご飯です」とか、何でもはっきり言うようになったの。もうがまんしない。人の言うとおりにするんじゃなくて、自分がしたいことをしようとしたんだと思う。

おじいちゃんが生きている間、毎日朝ごはんはパンだったのに、うつになってからは3食ずっとご飯を食べていたよ。「おばあちゃん、ずっとがまんしていたんだね」って、お母さんとびっくりしちゃった。

私は自分のおばあちゃんを見て、うつとか認知症になった人は、「今までがんばりすぎて疲れちゃったんだなぁ」って感じたの。だから、ももちゃんのおばあちゃんにも、優しくしてあげたくなるんだよ。「今まで本当に苦労してきたんだよね。もう、がまんしなくていいよ」って、言ってあげたくなるんだよ。

2014年9月12日金曜日

おばあちゃんとの話し方


ももちゃん、今日はね、おばあちゃんと話すとき、どうして私が「聞いてあげてね」って言うのか話してみようね。

ももちゃんがもし夏休みの終わりに「あーもういやだ!宿題まだ終わらないっ!!」って叫んだとしよう。お友達に、なんて言われると、一番気持ちが楽になる?

ア:「まだ終わってないの!?私なんて先週終わったよ?」
イ:「あと何と何が終わってないの?日記は何日分?」
ウ:「去年の今ごろもそんなこと言ってなかった?まったく毎年毎年…」
エ:「ほんとやんなっちゃうね。なかなか終わらないよねぇ。」

ももちゃんがまだ元気だったら、ア、イ、ウって言われても「ははは!」って笑い飛ばしちゃうかもね。でも、もしも本当に疲れてたらどう……?エくらいがいいと思ったり、しない?

私たち、心が元気だと、自分と違うことを言う人の話も聞けるんだけど、心が疲れてたりすると、いやだと感じたり、頭に全然入ってこなかったりしない?

だれかが何か言ったら、自分の気持ちとは別にして、相手の心の声を聞いてみる。相手の気持ちになって言葉を返してみる。ももちゃんはTVで見てるかな?ちびまる子ちゃんの、友蔵おじいちゃんみたいなかんじね。

「傾聴(けいちょう)」っていうんだけど、私は、ももちゃんのおばあちゃんといるときも、傾聴する気持ちを持つことにしてるよ。そうすると、耳は聞こえないけど、おばあちゃんにっこりして、なんとなくコミュニケーションも取れる。お互い気持ちよく、上手くいくんだよね。

2014年9月10日水曜日

おいしい白いご飯が大好き



ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃんは白いご飯を沢山食べるんだって?

おばあちゃんたちは戦争のとき、白いご飯を食べたくてもなかなか食べられなくて、大変な思いをしたんだね。私のおばあちゃんも、いつも「白いご飯です」って、白米にものすごいこだわりがあったの。お母さんは炊き込みご飯も作れないし、お赤飯の日もおばあちゃんの分だけ白いご飯を用意していたよ。

お母さんが土鍋でご飯を炊くようになったら、おばあちゃんはごはんをよく食べるようになった。やっぱり、おいしいごはんはわかるんだね。朝ごはんの前も全然起きられなかったのに、炊きたてのご飯を楽しみに、起きられるようになったんだよ。

おばあちゃんには、おいしいご飯をしっかり食べさせてあげたいね。

2014年9月7日日曜日

毎日小さな幸せを…


ももちゃん、今年の夏休みはどこへも旅行へ行かなかったんだって?毎日宿題を、よくがんばったね。

私のお母さんも、おばあちゃんのお世話をしていたから、ほどんど旅行に行けなかった。おばあちゃんはお母さんがそばにいてくれないと食事をできなかったし、デイケアセンターとかをいやがっていたからね。ご飯から次のご飯までの、ほんの2、3時間ずつしか、自分の時間が取れなかったんだろうね。

あるときお母さんが、「毎日、小さな幸せを見つけていくしかないのよ」って言ったんだよ。
お母さんは以前はバカにしていた朝の連続TV小説を見始めたり、お花見も、ちょっといつもより遠回りの近所の公園へを散歩して桜を楽しんだりしたんだって。犬の散歩でも、他の飼い主さんとお喋りするようになったみたい。

いつもと違った特別なことでなくても、ちょっと楽しいこと、嬉しいことに、幸せを見つけていけばいいんだね。そうした心の余裕ができたから、おばあちゃんにも優しくできたんじゃないかな。

2014年9月6日土曜日

好きなのだけで食べても、いいんだよ


ももちゃん、最近おばあちゃん、食欲が落ちちゃったんだってね。まだご飯を抜いたりしていないからいいけど、大丈夫かなぁ……?

私のおばあちゃんはね、うつがひどいとき、本当に食べられなかった。
「誰かが口から毒を入れた」とか言ってたかなぁ。口の中が気持ち悪くて、とにかく何も入れたくなかったんだね。ツバを必死に吐いて、水も飲めなくて、ご飯も何食も抜いたりした。たぶん、ストレスとかで、胃腸の調子が悪くて食欲もなかったし、ツバが出にくくなって、昨日話した歯周病ね、口の中の調子も悪かったんだと思う。

ところがね、私が外国人の友達を家に連れてきたとき、おばあちゃん、魔法のように、ちゃんとお昼ご飯を食べられちゃったの。
友達は簡単な日本語しか話せなかったし、おばあちゃんは昔の人だから、外国人なんて珍しくて、まともに会話もできないはずなのに、おばあちゃんは友達を見たときから、ずっと見せなかったような笑顔で、にっこりしていた。ゆっくりゆっくり、友達の言葉が届いて、ご飯を食べられた。どうしてだと思う?

友達はね、おばあちゃんに会ったときから、「おばあちゃんが大好きだよ」という笑顔で、本当に優しくあいさつしてくれたの。(あとで聞いたら、「お年寄りをリスペクトするのは、当たり前でしょう?」と言っていたよ。)それで、私たちの横で、全然食べられないおばあちゃんに、「おばあちゃん、食べて」って。自分のおばあちゃんに言うみたいに、優しく言ってくれたの。

それで、おばあちゃんがずっと見つめてるおかずに気づいて、「このおかずが好きなんだな」ってわかると、「おばあちゃん、これ食べて」って。少し食べられると、同じおかずを、「おばあちゃん、もっと食べて」って、何度も言ったの。おばあちゃんは、大好きなおかずを沢山食べた。そうしたら、食欲が出てきたみたいで、そのほかのおかずやご飯も、食べられちゃったの。

お母さんと私は最初ね、「同じものばっか食べたら栄養によくないから」って、友達に反対したの。でも、おばあちゃんはそんなこと言ってる場合じゃなかったんだね。まずは、食べられること。何も食べないよりは、好きな食べ物だけでも、食べた方がいい。元気が出てきたら少しずつ、色んなものを食べればいいんだね。

ひじきの煮物とか、かぼちゃとか。おばあちゃんが、身体にいいおかずばっかり好きだったのはラッキーだったけどね。
私たちはそのあとね、ご飯のときの、おばあちゃんへの話し方がすごく変わったの。おばあちゃんがちゃんとご飯を食べられるようになる、大きな機会になったと思うよ。




2014年9月5日金曜日

おばあちゃんと歯みがき


ももちゃん、久しぶり。しばらく話せなくてごめんね。

ももちゃんのおばあちゃん、歯みがきはしていないんだってね。おやつも甘いもの食べてるのに、虫歯にならないで、すごいね。ご飯の前後とか、お茶やお湯をよく飲んでるのがいいんだろうね。

私のおばあちゃんはね、うつがひどかったとき、歯みがきができなくなって、水もほとんど飲まなかったの。それで、あるとき突然、歯がグラグラになって抜けちゃったんだって。きっと歯周病って、口の中に悪い菌がたまる病気になっちゃったんだね。

おばあちゃんは歯が抜けたときすごく落ち込んじゃったんだって。それから、ヘルパーさんが家に手伝いに来てくれる日は、歯みがきを手伝ってもらうようになったんだよ。おばあちゃんがみがいてるのを、横で見てくださってるのを見たことがあるよ。

歯や口の中の調子が悪いと食欲もなくなっちゃうから、大事にさせてあげたいね。