2014年12月17日水曜日

おばあちゃん、お薬イヤなの…?


ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃんは、ご飯のあと、ちゃんと認知症の薬を飲んでるんだってね。いやがってないみたいで、よかったね。
私のおばあちゃんは薬をいやがって、全然飲もうとしなかったの。

最初のころ、おばあちゃんにどうしても薬を飲んでもらおうとして、わからないように、ご飯にふりかけたことがあったの。猫が具合が悪いとき、お医者さんに「ご飯に混ぜてください」と言われたことがあったから、そんな感覚だったのかもしれない。

たしかね、おばあちゃんは「このご飯には毒が入っています」と言って、食べなかった。それからおばあちゃんは、薬が入っていなくてもしょっちゅうご飯を嫌がったの。おばあちゃんは食べ物の中で白いご飯が一番好きだったのに、そのご飯を、信じられなくなっちゃった。薬を無理に飲ませようとしたのが、ますますおばあちゃんの具合を悪くしちゃったんだよね。

結局、おばあちゃんは薬を飲まなかったけど、だんだん「うつ」はよくなったよ。今思えば、薬なんてそんなに大事じゃなかったんだと思うの。おばあちゃんにとっては、心が元気になることのほうがずっと大事だったから。薬を飲むより、お母さんと一緒にご飯を食べたり、定期的にヘルパーさんに会ったり、ヘルパーさんに手伝ってもらって、歯みがきとか、大好きな洗濯をしたりすることのが、ずっと、おばあちゃんにはよかったと思うの。

認知症も、心が元気なことが大事だものね。薬を飲めなくてもそんなに心配することないと思うよ。



2014年11月17日月曜日

お水を飲めないおばあちゃん・・・



ももちゃんのおばあちゃんは「のどが渇いた、私にもお茶をおくれ」って、飲むのが好きみたいだね。よくお茶やお湯を飲んでいるものね。お年寄りは、こまめに水分を摂った方がいいから、よかったねぇ。

私のおばあちゃんはね、具合が悪くなると、食べるのも飲むのもすごく嫌がって、飲み物を全然飲めなかったの。

まず、食後のあとのお茶を飲んでくれない。よく、朝起きたらおみずを飲んだ方がいいというけれど、それも嫌がって。日中にお部屋にお茶やお水を持っていってもだめ。脱水気味で便秘はひどくなっちゃうし、家族も気が気でなかった。

結局、無理にすすめても、飲みたくないときは無理なんだね。そこでお母さんは、朝昼夜、おばあちゃんのご飯には必ず汁物を出すようにしたの。あと、食前や食後に白湯をあげたら、段々飲めるときも増えていったよ。

身体が弱っているときって、味が薄くて、さっぱりしたもの、それから、冷たい飲み物よりも温かい飲み物が飲みやすいみたい。「絶対飲んでもらわないと」とか焦らないで、少しずつ、根気よく色々試してみるのがいいかもしれないね。

2014年11月10日月曜日

実の子はつらいよ!


ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃん、息子さんのじぃじにばっかり「これ食べちゃってくれよぉ」って、自分が食べないおかずをくれるんだって?うっとおしいんだろうね、じぃじはおばあちゃんがそばにいると、ご機嫌ななめな感じだね。

私のおばあちゃんもそうだったよ。うつだったけどね、実の娘のお母さんにばっかり、「ご飯に毒を入れたでしょう!?」「おかず取ってください。」ひどいことを言ったり、命令みたいな口調になってたかなぁ。お母さんは、おばあちゃんと口を聞くときは、よく、怒った感じの口調になってた。

おばあちゃんが甘えられると感じるのは、自分の子どもだけなんだよね。だから、自分の体調や気分がよくないと、八つ当たりしてひどいことを言ったり、寂しくてかまってほしいだけなのに、うまい言葉が出なくて、傷つけちゃうんだよね。

子どもも子どもで、辛いんだよね。ももちゃんだって、学校から帰ってきたら、「お母さ~ん」って、今日お友達とどんなことしたとか、先生が面白いこと言ったとか、話を聞いてほしいよね。何歳になっても、お母さんはお母さん。ずっと甘えていたいお母さんが、ももちゃんに「あんた誰なんだい?」って言うようになったら、どうする?

「おばあちゃん、もう歳だからしょうがないや~」って、開き直って笑えないんだよね。頭ではわかっていても、受け入れられないんだって。お母さんが言ってた。

じぃじはね、「うるせぇなぁ!」って声を上げて怒っていても、ちっともすっきりしていないんだよね。ずっと、苦しい思いをしているんだね。じぃじの悩みを聞いてあげるのは大人の仕事だけど、ももちゃん、どうか、一緒にいるときは、「じぃじも大変なんだね」って、やさしい気持ちでいてあげてね。

2014年10月15日水曜日

ここはどこなんだい?


ももちゃん、この前、ケアセンターでお泊まり中のももちゃんのおばあちゃんに会ったら、「ここはどこなんだい?」って言っていたね。おばあちゃん、自分が来た場所がどこだか、よくわからなかったみたいだね。

認知症になると、今いる場所がどこなのか、わからなくなっちゃうんだってね。おばあちゃん、ときどき自分の家でもトイレを探しているもんね。方向感覚がなくなって、理解したり、判断したりも、しづらくなっているんだね。

難しい説明はできないけど、「お泊まりの場所ですよ」って言ったら、おばあちゃん、「そうなのかい!」って、安心したようだったね。「ここはどこなの?」って、不安な気持ちをわかってあげて、落ち着けてあげるように話してあげればいいんだね。

2014年9月27日土曜日

ヘルパーさんと一緒に


ももちゃん、この前ね、おばあちゃんのお世話をしてくれてる、ももちゃんのばあばに、私の家では、「ヘルパーさんにどんなこと頼んでたの?」って聞かれたの。「歯みがきとか…」って言ったら、やっぱり、「えっ?」って顔されちゃった。

そうなんだよね、ヘルパーさんって言ったら、お掃除とか、料理とか、本人ができない家事を代わってもらうイメージ、あるよね。でも今思い出すとね、洗濯を一緒にしたり、衣替えみたいに、たんすの整理を一緒にしたり、おばあちゃんがやりたいことを手伝ってもらう、っていうのをよくお願いしてたの。ヘルパーさんには週2、3回来てもらってて、掃除も一部屋だけだったからね。お母さんが、事前にケアマネージャーさんと、お願いしたいことをよく話し合ってたんだと思うけどね。

おばあちゃんはもともと洗濯が大好きだったから、ヘルパーさんに手伝ってもらって洗濯できたときなんかは、晴れ晴れとした、いい顔をしていたよ。

おばあちゃんはうつだったし、ヘルパーさんと過ごす時間で、気分転換したり、生活のリズムを作ったり、できてたんじゃないかな。家族の人が「起きる時間だよ」とか「ご飯食べようよ」って呼んでも、おっくうでなかなかできないけど、他の人と接するときは、ちょっと緊張感もあるし、調子がいいときは気を遣ったりもできる。

家族だけでおばあちゃんと接していると、「また断られた」「今日は調子悪いみたい」とか、がっかりがどんどん貯まって、堂々めぐりになってきちゃうんだよね。
よその人に家に来てもらうのって、初めは緊張するけど、思い切って甘えて、色んな人で少しずつ、おばあちゃんのお世話をしていけば、ちょっとでも楽に感じられるんじゃないかな。

2014年9月25日木曜日

おばあちゃんと歩こうよ


ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃん、最近は、昼間ほとんど寝てるんだって…?やることがなくて困っちゃってるのかな。

おばあちゃんを散歩に連れてってあげたいな。身体を動かすと足腰もほぐれるだろうし、外の景色を見ると気晴らしになるよね。

私のお母さんは、時間の余裕があるときはおばあちゃんに「散歩に行きませんか?」って声をかけていたよ。もちろんうつだから、断られちゃうんだけどね。

あるとき、調子がよくて、何年ぶりかに散歩に行けたことがあったの。おばあちゃん、おじいちゃんと散歩に行ってたころは後ろから付いて歩くだけだったのに、その日は自分で行きたい道を歩いたんだって。
おばあちゃん自身も、思ったより自分が歩けたからびっくりしてたって。晴れ晴れとした表情で、お母さんに「ありがとう」って言ったそうだよ。

認知症でも、できるなら行きたいときに、お出かけさせてあげたいよね。いつもと違ったことをするって、いいことだと思うんだ。

2014年9月18日木曜日

季節外れなおばあちゃん


ももちゃん、最近おばあちゃん、季節に合った洋服がわからなくなっちゃったんだってね。夏でも長袖(そで)を着て、「暑い暑い」って言ってるんだってね。

認知症になると、今いる季節も、わからなくなっちゃうんだよね。しょうがないね。私のおばあちゃんも、季節と関係ない服を着てた。夏でも長袖を着たり、ちょっと冷えると、毛糸のくつ下をはいたりしていたよ。

でもね、私は無理に季節のとおりの洋服を着せなくても、いいと思うの。おばあちゃん、きっと、真冬に袖なしのシャツとかは、着ないでしょう?だいたい、暖かい物を着過ぎちゃうんだよね。

あまり運動もしていないし、血行もよくないから、「暑い暑い」って言っても、足とか、お腹は冷えていたりするかもしれない。季節がわからないから、みんながびっくりするような服になっちゃうけど、実は、ちょっとスースーしたり、寒いのかもしれない。

私のお母さんは、ちょっと朝冷えると引き出しをあちこちひっくり返してるおばあちゃんを見て、「おばあちゃんなりに考えているのよね」と言って、おばあちゃんには色々言わなかったよ。好きな服を選ぶままにしたり、寒そうでもっと着るにしても、聞きながら、一緒に選んであげてたりした気がする。

そんなにみんなと同じに服を着なくてもいいよね。温かく見守ってあげてね。

2014年9月17日水曜日

もう、がまんしなくていいよ


ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃんって、昔は無口で、あまりしゃべらなかったんだって?今はご飯のときも「これおしょうゆかけちゃおか」とか何でもしゃべってて、いつも笑ってて、楽しそう。

おばあちゃん、実は寂しがり屋さんで話すのが好きそう。ずっとしゃべりたかったんだけど、だんなさんの前ではおしとやかにしたり、おしゃべりになりすぎないように、がまんしてたんじゃない?

元気だったころのおばあちゃんは、ものすごく働き者だったんだってね。ゴマの実ができたら作ってた話とか、ピーナッツみそが上手だったとか、色々聞いたよ。お盆にはおまんじゅうやぼたもちも作って…。本当に真面目で、みんなのために休みなく働いてくれてたんだろうね。

私のおばあちゃんはね、長い間ずっとがまんしきて、「もうがまんできない!」って爆発してうつになった感じだったの。うつになる前は、おかずを食べる順番さえおじいちゃんに教えてもらうくらい気が弱そうだったのに、うつになって、「私は白いご飯です」とか、何でもはっきり言うようになったの。もうがまんしない。人の言うとおりにするんじゃなくて、自分がしたいことをしようとしたんだと思う。

おじいちゃんが生きている間、毎日朝ごはんはパンだったのに、うつになってからは3食ずっとご飯を食べていたよ。「おばあちゃん、ずっとがまんしていたんだね」って、お母さんとびっくりしちゃった。

私は自分のおばあちゃんを見て、うつとか認知症になった人は、「今までがんばりすぎて疲れちゃったんだなぁ」って感じたの。だから、ももちゃんのおばあちゃんにも、優しくしてあげたくなるんだよ。「今まで本当に苦労してきたんだよね。もう、がまんしなくていいよ」って、言ってあげたくなるんだよ。

2014年9月12日金曜日

おばあちゃんとの話し方


ももちゃん、今日はね、おばあちゃんと話すとき、どうして私が「聞いてあげてね」って言うのか話してみようね。

ももちゃんがもし夏休みの終わりに「あーもういやだ!宿題まだ終わらないっ!!」って叫んだとしよう。お友達に、なんて言われると、一番気持ちが楽になる?

ア:「まだ終わってないの!?私なんて先週終わったよ?」
イ:「あと何と何が終わってないの?日記は何日分?」
ウ:「去年の今ごろもそんなこと言ってなかった?まったく毎年毎年…」
エ:「ほんとやんなっちゃうね。なかなか終わらないよねぇ。」

ももちゃんがまだ元気だったら、ア、イ、ウって言われても「ははは!」って笑い飛ばしちゃうかもね。でも、もしも本当に疲れてたらどう……?エくらいがいいと思ったり、しない?

私たち、心が元気だと、自分と違うことを言う人の話も聞けるんだけど、心が疲れてたりすると、いやだと感じたり、頭に全然入ってこなかったりしない?

だれかが何か言ったら、自分の気持ちとは別にして、相手の心の声を聞いてみる。相手の気持ちになって言葉を返してみる。ももちゃんはTVで見てるかな?ちびまる子ちゃんの、友蔵おじいちゃんみたいなかんじね。

「傾聴(けいちょう)」っていうんだけど、私は、ももちゃんのおばあちゃんといるときも、傾聴する気持ちを持つことにしてるよ。そうすると、耳は聞こえないけど、おばあちゃんにっこりして、なんとなくコミュニケーションも取れる。お互い気持ちよく、上手くいくんだよね。

2014年9月10日水曜日

おいしい白いご飯が大好き



ももちゃん、ももちゃんのおばあちゃんは白いご飯を沢山食べるんだって?

おばあちゃんたちは戦争のとき、白いご飯を食べたくてもなかなか食べられなくて、大変な思いをしたんだね。私のおばあちゃんも、いつも「白いご飯です」って、白米にものすごいこだわりがあったの。お母さんは炊き込みご飯も作れないし、お赤飯の日もおばあちゃんの分だけ白いご飯を用意していたよ。

お母さんが土鍋でご飯を炊くようになったら、おばあちゃんはごはんをよく食べるようになった。やっぱり、おいしいごはんはわかるんだね。朝ごはんの前も全然起きられなかったのに、炊きたてのご飯を楽しみに、起きられるようになったんだよ。

おばあちゃんには、おいしいご飯をしっかり食べさせてあげたいね。

2014年9月7日日曜日

毎日小さな幸せを…


ももちゃん、今年の夏休みはどこへも旅行へ行かなかったんだって?毎日宿題を、よくがんばったね。

私のお母さんも、おばあちゃんのお世話をしていたから、ほどんど旅行に行けなかった。おばあちゃんはお母さんがそばにいてくれないと食事をできなかったし、デイケアセンターとかをいやがっていたからね。ご飯から次のご飯までの、ほんの2、3時間ずつしか、自分の時間が取れなかったんだろうね。

あるときお母さんが、「毎日、小さな幸せを見つけていくしかないのよ」って言ったんだよ。
お母さんは以前はバカにしていた朝の連続TV小説を見始めたり、お花見も、ちょっといつもより遠回りの近所の公園へを散歩して桜を楽しんだりしたんだって。犬の散歩でも、他の飼い主さんとお喋りするようになったみたい。

いつもと違った特別なことでなくても、ちょっと楽しいこと、嬉しいことに、幸せを見つけていけばいいんだね。そうした心の余裕ができたから、おばあちゃんにも優しくできたんじゃないかな。

2014年9月6日土曜日

好きなのだけで食べても、いいんだよ


ももちゃん、最近おばあちゃん、食欲が落ちちゃったんだってね。まだご飯を抜いたりしていないからいいけど、大丈夫かなぁ……?

私のおばあちゃんはね、うつがひどいとき、本当に食べられなかった。
「誰かが口から毒を入れた」とか言ってたかなぁ。口の中が気持ち悪くて、とにかく何も入れたくなかったんだね。ツバを必死に吐いて、水も飲めなくて、ご飯も何食も抜いたりした。たぶん、ストレスとかで、胃腸の調子が悪くて食欲もなかったし、ツバが出にくくなって、昨日話した歯周病ね、口の中の調子も悪かったんだと思う。

ところがね、私が外国人の友達を家に連れてきたとき、おばあちゃん、魔法のように、ちゃんとお昼ご飯を食べられちゃったの。
友達は簡単な日本語しか話せなかったし、おばあちゃんは昔の人だから、外国人なんて珍しくて、まともに会話もできないはずなのに、おばあちゃんは友達を見たときから、ずっと見せなかったような笑顔で、にっこりしていた。ゆっくりゆっくり、友達の言葉が届いて、ご飯を食べられた。どうしてだと思う?

友達はね、おばあちゃんに会ったときから、「おばあちゃんが大好きだよ」という笑顔で、本当に優しくあいさつしてくれたの。(あとで聞いたら、「お年寄りをリスペクトするのは、当たり前でしょう?」と言っていたよ。)それで、私たちの横で、全然食べられないおばあちゃんに、「おばあちゃん、食べて」って。自分のおばあちゃんに言うみたいに、優しく言ってくれたの。

それで、おばあちゃんがずっと見つめてるおかずに気づいて、「このおかずが好きなんだな」ってわかると、「おばあちゃん、これ食べて」って。少し食べられると、同じおかずを、「おばあちゃん、もっと食べて」って、何度も言ったの。おばあちゃんは、大好きなおかずを沢山食べた。そうしたら、食欲が出てきたみたいで、そのほかのおかずやご飯も、食べられちゃったの。

お母さんと私は最初ね、「同じものばっか食べたら栄養によくないから」って、友達に反対したの。でも、おばあちゃんはそんなこと言ってる場合じゃなかったんだね。まずは、食べられること。何も食べないよりは、好きな食べ物だけでも、食べた方がいい。元気が出てきたら少しずつ、色んなものを食べればいいんだね。

ひじきの煮物とか、かぼちゃとか。おばあちゃんが、身体にいいおかずばっかり好きだったのはラッキーだったけどね。
私たちはそのあとね、ご飯のときの、おばあちゃんへの話し方がすごく変わったの。おばあちゃんがちゃんとご飯を食べられるようになる、大きな機会になったと思うよ。




2014年9月5日金曜日

おばあちゃんと歯みがき


ももちゃん、久しぶり。しばらく話せなくてごめんね。

ももちゃんのおばあちゃん、歯みがきはしていないんだってね。おやつも甘いもの食べてるのに、虫歯にならないで、すごいね。ご飯の前後とか、お茶やお湯をよく飲んでるのがいいんだろうね。

私のおばあちゃんはね、うつがひどかったとき、歯みがきができなくなって、水もほとんど飲まなかったの。それで、あるとき突然、歯がグラグラになって抜けちゃったんだって。きっと歯周病って、口の中に悪い菌がたまる病気になっちゃったんだね。

おばあちゃんは歯が抜けたときすごく落ち込んじゃったんだって。それから、ヘルパーさんが家に手伝いに来てくれる日は、歯みがきを手伝ってもらうようになったんだよ。おばあちゃんがみがいてるのを、横で見てくださってるのを見たことがあるよ。

歯や口の中の調子が悪いと食欲もなくなっちゃうから、大事にさせてあげたいね。

2014年8月29日金曜日

一緒にいるだけでもいいんだよ


ももちゃん、おばあちゃんは、耳もほとんど聞こえないし、一緒にいても会話もできなくて、どうしていいかわからなくなっちゃう?そういうときは、となりに座っておばあちゃんを見ててあげるだけで、いいんだよ。

私のおばあちゃんはね、うつがひどかったとき、家にヘルパーさんが来ても、ずっとおばあちゃんの妄想の人と会話をしてて、ヘルパーさんと話しもしてくれなかったことがあったの。

ヘルパーさんが帰るときに私が、「今日はすみません、せっかく来ていただいたのに…」って言ったら、「『見守り』も一つの大事なケアなので、いいんですよ」って言ってくれたの。そのとき私は「へぇ、見守りって言うんだ!」って思ったよ。

実際、おばあちゃんは、だんだんそのヘルパーさんと会話もできるようになって、一緒に歯みがきとか、洗濯をするようになったの。知らないふりしてたけど、ヘルパーさんがいてくれてることは感じてたんだね。

だからももちゃん、こんな、小さなことでもいいんだよ。ちょっと時間を取れるときとか、なにかのついでがあるときは、となりに座ってみてあげてね。

2014年8月28日木曜日

ねこはおばあちゃんが大好き


ももちゃん、ねこって好き?かわいらしくてなでてあげようとすると、いきなり怒ったり、ひっかいたりしてきたりするね。

うちの実家ではねこを飼ってたんだけど、ねこはおばあちゃんの部屋で寝るのが大好きだったの。高いところが大好きで、夜になるとおばあちゃんの部屋のタンスの上に乗って寝た。

最初はおばあちゃん、「ねこが来ちゃうのよ」といやがって棒なんかをふり回して追い出そうとしてた。でもだんだん心の調子がよくなると、そのままにしてあげるようになったよ。

どうしてねこはおばあちゃんの部屋がよかったんだろう?それは、ねことおばあちゃんがよく似てたからじゃない?「ああしなさい、こうしなさい」って、人から言われるのが大きらい。なんでも自分が思うようにしたかったんだね。
おばあちゃんの部屋でなら、なでられたり、ちょっかいだされたりしないで、静かに眠れるから、好きだったんじゃないかな。

だから、おばあちゃんにはねこに言うつもりで話しかけると、上手くいった。

×:「おばあちゃん、おみそ汁もちゃんと飲んで。」
○:「おばあちゃん、こんどはおみそ汁、いかがですか?」

っていう感じ。

認知症でも、うつでも、やっぱりおばあちゃんはおばあちゃん。年上の大人に話しかけるつもりで、心をこめて丁寧に言うと、上手くいったよ。

2014年8月27日水曜日

だんだん赤ちゃんに…


ももちゃん、今日はね、私のお母さんのお友達で、介護(かいご)のせんぱいだった方の言葉を伝えたいと思って。

お友達がうちに来てちょっとお母さんと話してて、だんなさんのお母さんの話になったときね、こう言ったの。「だんだん赤ちゃんに戻っていくんだねぇ」って。
だんなさんのお母さんはもうおしめをしてたって言ってたかなぁ。お友達は長年遠くまで、介護のために通っていたんだよね。

介護をする人にしてみたら、自分よりもずっと年上の人の世話に骨を折るなんて、「もう!なんで!?」って疲れちゃうときもあるかもしれない。でも、「赤ちゃん」と思ったらどう……?なにも自分でできないの、当たり前なんだね。

「赤ちゃん」、なんてかわいがる気持ちを持って呼べたお友達の方は、本当に長い間の介護の苦労を乗りこえたんだと思う。私のお母さんはね、いそがしい合間をぬって、お友達が車を出してくれたりして、おばあちゃんを病院に連れて行けたり、すごく助けてもらったんだよ。

2014年8月26日火曜日

小さなことが気になって…


ももちゃん、最近おばあちゃん、夏の暑い日でも戸をすぐ閉めようとして大変なんだって?この前は、ずっとせん風機のことが気になってたみたいだね。せん風機が首ふり機能で戸の方を向くから、「開いた戸から涼しい風が逃げちゃう」って心配して何度も言ってたね。

おばあちゃんの言うこと、変でしょう?本気にしなくていいんだよ(笑)。ふつうの人ならなんでもないような小さなことがずっと気になって、頭からはなれなくなっちゃう。これは、「うつ」症状のひとつじゃないかな。「うつ」は、「行動・心理症状」と言って、認知症の中でも、おばあちゃんがストレスを感じたりして、起きる方の症状なんだって。

ももちゃんも、なんかイライラしたり、いやな気分になったりすると、ただの虫さされとか、かさぶたが急に気になって、何回もかいて、ひどくなっちゃったりしない?落ち着かない気分だと、いろんなことが心に引っかかっちゃうんだよね。

おばあちゃんも、リラックスする時間が増えたら、少しよくなるかなぁ?おばあちゃんはお喋りが大好きだから、「ふんふん」ってちょっと聞いてるふりしてみてあげたら?気が済めば、少しおばあちゃんも気が楽になると思うよ。

2014年8月25日月曜日

「うす味」や「だし」が食欲のカギ!?



ももちゃん、おばあちゃん、しょっぱい食べ物が大好きって言ってたけど、最近はそうでもないんじゃない?

「おばあちゃんはちょっとじゃだめだから」って、お豆腐におしょうゆを沢山かけてもらったら、「これじゃぁしょっぱくて食べられないね」と気味悪そうにして、箸でしごきながら食べてたよ。

あと、私がお野菜にぽん酢をかけてたら、「あたしにもかけとくれ」って。前は、ぽん酢じゃ物足りなくてさらにしょうゆをかけた気がするんだけど、私と同じくらい、ぽん酢を少しかけただけで、おいしそうに食べてたよ。

認知症になると、素材の味がよくわかるのかなぁ?
私のおばあちゃんもね、うつになってから、「うす味」や「味なし」が好きになっちゃった。ゆでたほうれん草も、納豆も、何もかけないで、そのまま食べるようになったの。

そして、だしがきいたおかずをものすごく沢山食べるようになった。私のお母さんは、かつおぶしでだしを取ってから煮物を作ったりするようになった。おみそ汁も、だしで取るようになってから、全部飲むようになったみたいだったよ。

ももちゃん、おばあちゃんにおしょうゆやぽん酢をかけてあげるときは、「おばあちゃん、このくらい?」って、ちょっとかけたら聞いて、少しずつかけてあげてね。




2014年8月23日土曜日

認知症なんて、どうってことないんだね



ももちゃん、おばあちゃんが認知症だって、お友達に知られたら、いや?恥ずかしいからだまってたい?

私ね、大学生のころ、クラスの仲いい友達に「最近おばあちゃんがぼけちゃって、大変なんだよね」ってこぼしたことがあるの。たぶんそのとき、私は眉間にしわが寄っちゃって、ため息ついてたと思う。

韓国(かんこく)人だった友達は「そういうおばあちゃんいるよね、ははは!」って、明るく笑ったの。「私も知り合いとか近所でそういうおばあちゃんいるいる!」「年取ったらなるんだよね、しょうがないしょうがない♪」っていう感じで、全然いじわるな笑いじゃなかった。私、彼女が可笑しそうに笑うからびっくりしちゃった。

何年かして韓国に旅行したら、なんとなくわかったの。韓国では、みんなおじいさん、おばあさんを尊敬して、知らない人にでも、いつでも助けてくれたよ。
例えば、電車に乗っていて席が空いたらね、遠くのドアの前に立っているおじいさんに、「席が空いたから座ってください」って、若い人が呼びに行ってくれたの。その間、だれも空いた席に座らないで、おじいさんが座るまで待っていてくれた。

ひざや腰が痛くなったり、歩くのが不便になったり。おじいさん、おばあさんになったら、若いときと同じにはできなくなる。当たり前のことと思って、「ま、いいよ」「みんななるんだから」って思っていれば、認知症だって、そんなに特別なことと思わなくてもなくてもいいんだね。できる人が、少しずつ助けてあげればいいんだね。

2014年8月22日金曜日

どうして怒(おこ)っちゃいけないの?


ももちゃん、おばあちゃんと話してるときの私は変?自分の顔をおばあちゃんの目の前の高さにして、背中をさすりながら、しゃべるのはゆっくり。大げさな身ぶりもしたりする。
「ダメだよ!」「おばあちゃんちがう!」「おばあちゃん早く!」は言わない。ふつうならビシッとしかりそうなことを、にっこり笑って、私、遊んでいるみたい?(笑)

「遊んであげるくらいの気楽な気持ちでいいんだよ~」って言ったらびっくりしちゃう?認知症の人には大声を上げたり、怒りをぶつけたりしちゃだめって、みんなよく言うし、いろんなところに書いてある。だけど、毎日毎日変なことばかりしてるのにがまんできないかな?(笑)。どうしてだと思う?

私のお母さんの方のおばあちゃんは、老人性うつ病と言われたって、話したね。一緒に住んでて、私の家族が見つけた答えは、「おばあちゃんにストレスがなくなって、心が自由で楽になると、おばあちゃんの具合がよくなるから」。

私たちもはじめはよく怒った。「おばあちゃん、いつまで寝てるの!?」「おばあちゃん、ひじきだけじゃなくてにんじんも食べて!」みたいなことね。

おばあちゃんは言えば言うほどいやがって、反対のことをしようとした。「○○さんがいるからご飯はいただきません」とか、こわい言い方をする人をきっぱりいやがった。ご飯を抜いたり、夜寝なかったり。ますます身体の具合が悪くなった。
「実家に帰ります」と、家出して駅まで行っちゃったのもこのころ。ものすごく必死な顔で、力いっぱい、お母さんの腕をふり切ってしまったんだって。

「うちのおばあちゃんったらこの前もね…」おばちゃんの何でもかんでもが大変で、家族同士も、きっと外でも、ぐちばかり言っていた。10年くらいかかったかな、だんだん私たちも慣れて、「まずはおばあちゃんにきらわれないように…」やさしい言い方に変わって、生活からどなり声が消えたころ、おばあちゃんは「寸劇(すんげき)でこう言ってるのよ」なんて妄想もなくなってきて、ご飯も3食食べられるようになった気がするの。

私は、認知症も、同じことだと思ってる。聞こえてないとか、わかってない、忘れちゃうとか、そうは思えないの。ももちゃんだって、ガミガミ怒られるのはいやだよね。認知症になると、なんでも、正直になるように見えるの。おばあちゃんは今、ふつうの人よりもソワソワしてる。その分、相手の怒りをもっともっと感じやすいと思う。

おばあちゃん、元気そうに見えるけど、もしかしたら、心の中ではいつも綱(つな)わたりをしてる気分で、ヒヤヒヤしているかもしれないよ。「大丈夫だよ」って、ちょっとでも気を楽にさせてあげたいね。



2014年8月21日木曜日

食べきれないおかずがあると…


ももちゃん、最近おばあちゃん、食が細くなって、ご飯を食べきれないみたいだね。食事が始まると、「あたしゃこれ半分でいいよ、残りはあんた食べちゃっとくれ」って。

毎食毎食言うから、息子さんのじぃじなんか、となりの席で、くたびれちゃったみたい。そうだよね、「これ手ぇつけてないから!」って言うけど、お豆腐はしょうゆがびたびたで、おばあちゃんが箸で細かくしちゃったもんね。「箸でかき回したのなんかいらないよ!!」

私のお父さんの方のおばあちゃんも、元気なんだけどね、よくみんなでお食事に行って、天ぷらとか多かったりすると言うの。「ねぇこれよかったら食べて、手ぇつけてないから。」これは、本当に箸付けてないんだけどね。

おばあちゃんたちは戦争中に苦しい生活をしてきたから、食べ物を残すなんて、絶対にできないんだよね。きっと昔はこうして、食べられない分はゆずりあってきたんだね。今どきは、食べ物を残すのはよくあることだけど、認知症のおばあちゃんには、今の時代が、わからない。

食欲がなかったり、噛めないとか、理由があって食べられないと、「食べない」とは言えない。「あげるよ!」ってなっちゃうんだよね。おばあちゃんは、食事のマナーもちょっと忘れてきちゃってる。だから、さっきまで箸付けて食べてたおかずも、差し出しちゃうんだね。

押しつけられた感じですごく腹が立ったりもするんだけど、おままごととか、ギャグだと思って流してあげてね。
「ありがとう」と言って一度お皿をおばあちゃんから遠ざけちゃうの。食べてたおかずが終わったころにそーっと見せたら、好きだったり、食べられるおかずのときは、何も覚えてない顔で、「これ食べちゃおうかな」って言って食べてたよ。

認知症のおばあちゃんは、目の前のこと、1つずつしかできないけど、意外とすごい持久力で食べられるの。だから、「どうですか?」って根気強く試してみると、けっこう栄養とれたりするんだよね。

2014年8月20日水曜日

おばあちゃん、タイムスリップしちゃった


ももちゃん、最近おばあちゃん、ご飯のあと、食器を片付けようとしたり、お皿を洗おうとしてくれるんだってね。前は、「なんにもしないで、すまないねぇ」って、家族がやるのにまかせてたのに。

私が横浜に戻る日も、夕食のあとちょっとみんながバタバタして、お皿を置いた流しに人がいなかったら、「あたしが洗うよ!!」と椅子から立ち上がってたね。ももちゃんのママが流しに立ったら、「あそこに一人と、あと向こうも一人やってくれてるから大丈夫だな。」ってひとり言とを言っていたよ。おばあちゃん、若い頃の、しっかり屋さんの女主人に戻ったみたい。

これも、認知症の症状なんだって。「見当識障害(けんとうしきしょうがい)」と言って、「ここは、いつ、どこで、自分はだれなのか」が、よくわからなくなっちゃうんだって。そこで昔に戻っちゃうのは、ちょっと妄想も入っている気がするけどね。
私のおばあちゃんも、老人性うつ病って診断されたんだけど、私のお母さんを突然小中学生みたいに「ちゃん」づけにしてて呼んだり、結婚前に好きだったっていう男の人の名前を口にしたりしていたよ。

お母さんは、「一番よかったころの自分に戻っちゃうんだね。」って言ってた。私はこういうとき、間違ってても、おばあちゃんが見ている世界を否定しないで、なるべく話を聞いてあげてる姿勢で、気持ちを読み取るようにしてる。ももちゃんのひいおばあちゃんも、「いいんですよ、座っててね」と背中をさすってあげたら、耳が聞こえないけど、ちょっと落ち着いたみたいだったね。

2014年8月19日火曜日

おばあちゃん、優(やさ)しいよね


ももちゃん、おばあちゃんって優しいよね。おばあちゃんのそばに行くと、「あんた、ここに座んな」、「これ食べな」、「あんたも飲みなさい」……。結婚前、初めて実家にあいさつに行ったときから、いつもお客さんとして温かくもてなしてもらってる。

会う前におばあちゃんは認知症だって聞いてい心配したけど、「あはははは!」って、楽しそうに笑うおばあちゃんに、ほっとしちゃった。
おばあちゃんがこんなに優しくて明るいままだったのは、おばあちゃんの性格もあると思うけど、家族の温かいケアのおかげで、毎日楽しく暮らせてたからだと思うの。

認知症の症状って、2つあるんだって。脳みそが縮(ちぢ)んでいくせいで起きる、病気そのものの症状と、心がストレスを感じたりして起きる、あとからなる症状。

家出して帰れなくなったり、乱ぼうな言葉を言ったり、私たちが「嫌だな」と感じることはほとんど、ストレスのせいで起きる症状なんだって。
おばあちゃんは、ちゃんと薬も飲んでたし、お家で気持ちよく暮らせてたから、そういうことは、ないみたいだったね。上手に過(す)ごせてたってことだよね。


参考:
『横浜市認知症サポーター養成講座』(第5版) 2012年1月 発行/編集 まちかどケア協働事業

2014年8月18日月曜日

認知症サポーターになったよ



ももちゃん、これ何か知ってる?腕輪の形をしています。

今年の2月、近所のケアプラザで「認知症(にんちしょう)サポーター養成講座(ようせいこうざ)」を受けてきました。2時間くらい、お医者さんのお話を聞いたりビデオを見たりして、終わると「認知症サポーター」の印にこのリングをもらえるの。

認知症のおじいさんやおばあさんは、一人では生活できないから、本人や家族を支えるのに、ご近所の人も、どんな病気か知っていた方がいいんだよね。

認知症のおばあちゃんがすることは、ひ孫のももちゃんから見ても不思議なことばかり?講座で、「えっ、なんでそんなことするの!?」ということも、病気のせいだと知りました。これから、講座で聞いてきた話や、私のおばあちゃんの話なんかも、少しずつお話しようと思います。

おばあちゃんが、少しでも、お家で叱(しか)られたり、怖くなったり、不安になったりしなくなって、みんなで楽しく暮らせるといいね。また、ちょくちょく帰省したいです。