2014年9月6日土曜日

好きなのだけで食べても、いいんだよ


ももちゃん、最近おばあちゃん、食欲が落ちちゃったんだってね。まだご飯を抜いたりしていないからいいけど、大丈夫かなぁ……?

私のおばあちゃんはね、うつがひどいとき、本当に食べられなかった。
「誰かが口から毒を入れた」とか言ってたかなぁ。口の中が気持ち悪くて、とにかく何も入れたくなかったんだね。ツバを必死に吐いて、水も飲めなくて、ご飯も何食も抜いたりした。たぶん、ストレスとかで、胃腸の調子が悪くて食欲もなかったし、ツバが出にくくなって、昨日話した歯周病ね、口の中の調子も悪かったんだと思う。

ところがね、私が外国人の友達を家に連れてきたとき、おばあちゃん、魔法のように、ちゃんとお昼ご飯を食べられちゃったの。
友達は簡単な日本語しか話せなかったし、おばあちゃんは昔の人だから、外国人なんて珍しくて、まともに会話もできないはずなのに、おばあちゃんは友達を見たときから、ずっと見せなかったような笑顔で、にっこりしていた。ゆっくりゆっくり、友達の言葉が届いて、ご飯を食べられた。どうしてだと思う?

友達はね、おばあちゃんに会ったときから、「おばあちゃんが大好きだよ」という笑顔で、本当に優しくあいさつしてくれたの。(あとで聞いたら、「お年寄りをリスペクトするのは、当たり前でしょう?」と言っていたよ。)それで、私たちの横で、全然食べられないおばあちゃんに、「おばあちゃん、食べて」って。自分のおばあちゃんに言うみたいに、優しく言ってくれたの。

それで、おばあちゃんがずっと見つめてるおかずに気づいて、「このおかずが好きなんだな」ってわかると、「おばあちゃん、これ食べて」って。少し食べられると、同じおかずを、「おばあちゃん、もっと食べて」って、何度も言ったの。おばあちゃんは、大好きなおかずを沢山食べた。そうしたら、食欲が出てきたみたいで、そのほかのおかずやご飯も、食べられちゃったの。

お母さんと私は最初ね、「同じものばっか食べたら栄養によくないから」って、友達に反対したの。でも、おばあちゃんはそんなこと言ってる場合じゃなかったんだね。まずは、食べられること。何も食べないよりは、好きな食べ物だけでも、食べた方がいい。元気が出てきたら少しずつ、色んなものを食べればいいんだね。

ひじきの煮物とか、かぼちゃとか。おばあちゃんが、身体にいいおかずばっかり好きだったのはラッキーだったけどね。
私たちはそのあとね、ご飯のときの、おばあちゃんへの話し方がすごく変わったの。おばあちゃんがちゃんとご飯を食べられるようになる、大きな機会になったと思うよ。




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