小学生の姪(めい)っ子「ももちゃん」は、認知症のひいおばあちゃあんと一緒に住んでいました。 老人性うつ病の祖母と暮らした経験から、「ももちゃん」への語りを通して、ひいおばあちゃんとの心地よい過ごし方についてつづります。
2014年8月22日金曜日
どうして怒(おこ)っちゃいけないの?
ももちゃん、おばあちゃんと話してるときの私は変?自分の顔をおばあちゃんの目の前の高さにして、背中をさすりながら、しゃべるのはゆっくり。大げさな身ぶりもしたりする。
「ダメだよ!」「おばあちゃんちがう!」「おばあちゃん早く!」は言わない。ふつうならビシッとしかりそうなことを、にっこり笑って、私、遊んでいるみたい?(笑)
「遊んであげるくらいの気楽な気持ちでいいんだよ~」って言ったらびっくりしちゃう?認知症の人には大声を上げたり、怒りをぶつけたりしちゃだめって、みんなよく言うし、いろんなところに書いてある。だけど、毎日毎日変なことばかりしてるのにがまんできないかな?(笑)。どうしてだと思う?
私のお母さんの方のおばあちゃんは、老人性うつ病と言われたって、話したね。一緒に住んでて、私の家族が見つけた答えは、「おばあちゃんにストレスがなくなって、心が自由で楽になると、おばあちゃんの具合がよくなるから」。
私たちもはじめはよく怒った。「おばあちゃん、いつまで寝てるの!?」「おばあちゃん、ひじきだけじゃなくてにんじんも食べて!」みたいなことね。
おばあちゃんは言えば言うほどいやがって、反対のことをしようとした。「○○さんがいるからご飯はいただきません」とか、こわい言い方をする人をきっぱりいやがった。ご飯を抜いたり、夜寝なかったり。ますます身体の具合が悪くなった。
「実家に帰ります」と、家出して駅まで行っちゃったのもこのころ。ものすごく必死な顔で、力いっぱい、お母さんの腕をふり切ってしまったんだって。
「うちのおばあちゃんったらこの前もね…」おばちゃんの何でもかんでもが大変で、家族同士も、きっと外でも、ぐちばかり言っていた。10年くらいかかったかな、だんだん私たちも慣れて、「まずはおばあちゃんにきらわれないように…」やさしい言い方に変わって、生活からどなり声が消えたころ、おばあちゃんは「寸劇(すんげき)でこう言ってるのよ」なんて妄想もなくなってきて、ご飯も3食食べられるようになった気がするの。
私は、認知症も、同じことだと思ってる。聞こえてないとか、わかってない、忘れちゃうとか、そうは思えないの。ももちゃんだって、ガミガミ怒られるのはいやだよね。認知症になると、なんでも、正直になるように見えるの。おばあちゃんは今、ふつうの人よりもソワソワしてる。その分、相手の怒りをもっともっと感じやすいと思う。
おばあちゃん、元気そうに見えるけど、もしかしたら、心の中ではいつも綱(つな)わたりをしてる気分で、ヒヤヒヤしているかもしれないよ。「大丈夫だよ」って、ちょっとでも気を楽にさせてあげたいね。
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